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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【アン・サリー】


いつも自然体な佇まい、優しく澄んだ歌声。
歌手であり、医師であり、母親である彼女のひとりの女性としての輝き、その美しさ。



インタビュー(August,2014)
アン・サリー

>ここ数年は、北海道へ定期的にいらっしゃっています。

真夏の北海道へ来られるなんて最高ですし、声をかけていただけるのはありがたいです。私は関東の方に住んでいるのですが、北海道は急がされることなく、しっかりと考えながら行動できるような、ゆったりとした時間の流れを感じます。美唄やニセコへ行った時は、会場自体が雰囲気の良いところで、ライブが終わってから周辺を散歩したりして、草木の緑の色や気候の違いなども楽しみながら、北海道の夏を堪能しています。
>2007年頃から、自身で作詞作曲も手掛けられるようになりました。
自分の中で実はあまり変化はないんですよね。カバーも既存の曲をそのまま真似るのではなく、メロディーなども変えて歌っていますし、自分なりに消化したものを表現するという部分で、発想としてカバーもオリジナルと同じ気持ちで接していますので、本当にちょっとした違いだけなんですよね。もちろん、私がカバーをさせていただいているのは往年の素晴らしい名曲たちで、私のオリジナルなんかとは比べものにはなりませんけれど。
>同じ表現でも曲を作ることと、歌うこととは別ものではありませんか?
実は、自分の中ではそれほど違いは感じていません。頭の中に浮かんできた曲を初めて形にして、それを人に伝えられた時に、生きてきた甲斐があったというやりがいや充実感をすごく感じて、もし私が生まれていなければこの曲は世に出ることがなく、それを聴いてくださる方も存在しなかったと考えると、生きている証みたいなものを残せた気がして、とても感激しました。ただ、私にとっては歌を歌うことも、曲を作ることと同じくらい大きな意味を持っています。自分がそれまで経験したことや感じたことが、歌や曲としてどのように表現されているのかを客観視しながら、それを聴いてくれた方が一体どういう表情をして受け止めていただけるのかを、自分自身の目で見届けたいんです。曲を作ること、そして歌うことの重みも感じながら、いつも幸せを噛み締めて歌わせていただいています。
>作曲の発想はどんなところから生まれていますか?
歌うことも同じなのですが、頭で考えて歌わない方が良い歌が出るように、メロディーの音程を正確にとか、流れや起承転結がこうだからとか理論的に考えずに、できるだけリラックスして自然の景色などをぼーっと眺めながら、自分が無になった感覚でメロディーに置きかえた方が良い曲が浮かんでくる気がします。私は頭の中に浮かんできたメロディーを流れるままにしておくと、単純に良い曲だなで終わってしまいますので、それを追いこんで完成させていく時間が必要なんです。ただ、自分でも好きな曲は起承転結がばーっと閃いて、そういう曲の方が自分を苦しめて出来た曲もよりも良かったりしますので、できる限りそういう環境や状況を作ったり、整えるように心がけています。なんて、大そうなことを言えるほど、数は作れていませんけれど(笑)。
>作品から心地よさや魅力を共感できるのは、まず作り手が幸せだからなのかもしれませんね。
そうですね。自分自身の生活が幸せで、人に対して心を開いているようにはしていたいです。そのためにも、良い曲を作ったり、良い歌を歌いたければ、まずは自分の暮らしを大切にすることが大前提です。
>仕事と音楽、プライベートを充実させるには苦労も多いのでは?
肩書きを見ると医師で、歌手でありながら、子育てをしてみたいな大層なことが書かれていますが、その時その場でそれぞれに集中しているだけですので、大げさなものではないんですよね。それを大変だと感じたことはありませんし、すべてが楽しいんですよ。結局は本当に好きなことだからこそ、ずっと続けられていられるんでしょうね。
>すべて自身がやりたいことで、ひとつずつ形にされているのは素晴らしいです。
私の場合は、もともと医師になりたかったですし、音楽も好きでやっていますので、続けていくうちに自然と現在のスタイルに落ち着いた感じなんです。そのぶん、ありのままのイメージでみなさんに浸透していけだけたのかもしれません。活動初期の頃から宣伝などはほとんどしてきませんでしたので、そのやり方が功を奏したのか、無理がなく嫌なストレスを感じることもありませんでした。ですから、あくまでもすごく地味なんです(笑)。私の住んでいるちょっと田舎の方では、子供の同級生にとってテレビやメディアによく出ている歌手が有名で、私は売れてない歌手と思われているんですよね。もちろん売れてはいないんですけれど(笑)。でも、自分ではそれが良いなと思っています。
>年齢を重ねていくことで、自身の表現の上での変化はありますか?
自分で何かを変えようとはあまり考えていませんが、自然に年齢を重ねていく良さは絶対にありますし、年をとったのに若さを演出したような歌い方など、どこか無理のあるものには魅力を感じません。私は年齢を重ねていくことを恥じることなく、価値を見い出していきたいですし、徐々に醸し出される経年変化が歌や曲に表れていく変化を、自分自身でもこれから楽しんでいきたいです。

『森の診療所 …featuring Ann Sally』
SONG X 017/018 / ¥2,800(tax out)
※コンサート会場、SONG X JAZZウェブショップ限定販売
SONG X JAZZ:http://www.songxjazz.com


【アン・サリー】
幼少時からピアノを習い音楽に親しむ。大学時代より本格的に歌い始め、卒業後も医師として働きながらライブを重ねる。 2001年、アルバム『Voyage』 でデビュー。2002年からニューオリンズに医学研究のため暮らし、帰国後は医師としての勤務の傍ら日本全国でライヴ活動を行う。2児の母となった2007年にはアルバム『こころうた』を、2008年11月には、書き下ろしオリジナル曲「時間旅行」を発表。時代やジャンルの枠を超えた、柔らかくも情感あふれる歌唱と、そのナチュラルなライフスタイルは幅広く支持されている。
オフィシャルサイト:http://www.annsally.org


text:Pilot Publishing
photo:Hieki Akita(tootootoo studio)
August,2014



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