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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【Salyu】





デビュー10周年を迎える《Salyu》が活動の集大成となる、3年ぶりのオリジナルアルバム『Android&Human Being』をリリース!ヴォーカリストとして常に高みを目指し、さまざまな表現に挑み続ける彼女の現在。


インタビュー(March,2015)
Salyu


>北海道にいらした際、楽しみにされていることはありますか?

私は甘いものは絶対に必要不可欠で、六花亭のレーズンバターサンド、ロイズのチョコレート、石屋製菓の白い恋人など、北海道のお菓子は全部大好物です。味はもちろんですが、気取り過ぎないところが良いですね。東京にいながら通販で買うこともあります(笑)。

>5thアルバム『Android&Human Being』は、これまでのイメージを覆し、新たな表現を試みる意欲作となっています。
今作は、“Android”はデジタルと、“Human Being”は人が作ったものというものが象徴されていて、その両方をどのように共存させるかは、生活の中にある価値観にも通じていると思います。今までは見せない所でデジタルに力を借りていましたが、今作はタイトルとして題しているからには、それと正面から向き合う覚悟みたいなものは持っています。私もプロデューサーの小林武史さんもデジタルと共存した音楽表現の再構成を目指しているのですが、前作から3年の間に示し合わせてそうなったのではなく、必然というか、自然の流れのままに落ち着いていきました。

>1曲ずつ積み重ねていくうちに、方向性やコンセプトが形として具現化されてきたのでしょうか?
作品によっても異なるのですが、小林さんとの場合は事前に話し合ったりはしませんし、潜在的に存在しているものや今の気分などを形にしていく作業のような感覚があります。例えば、《salyu × salyu》はコンセプトありきで始めていますので、そのコンセプトをいかに見つめるかを大切にしています。ユニットのようなスタンスで、メンバー各自の役割が決まっている中で、常に新しい発見や驚きがたくさんあります。私は表現をしたいというより、機能したいという想いの方が強いかもしれません。フューチャリングの面白さは、相手と重なり触発されることで、自分の存在や質量みたいなものを認識できることです。これからも自分に無いものを持っている方達と話をしてみたいし、一緒に音楽を作ってみたいです。

>今作は曲ごとの世界観が個性豊かで、表現や魅力が多彩です。
曲ごとに歌としての役割は、よくよく考えています。曲に対してのヴォーカルの在り方を考えながら、ただ目の前のことに一生懸命取り組んでいただけで、結果として楽曲が個性に富んでいきました。その状況によって相応しいアイテムはさまざまなシーンにあって、例えばミルクをマグカップや湯のみではなく、ティーカップで飲むと上品な気持ちになれますよね。自分なりの感覚ですが、それがどんなもので、どんな感触で、どんな性格のものなのか、自然とその場所に存在して機能するものをシュミレーションしています。

>ヴォーカリストとしての役割をどのように捉えられていますか?
この環境だとこの機能で働きかけをすることで、このような役割になれるだろうと理解してから取り組んでいくと、自然とその道が教えてくれるような気がします。自分が表現する上で小さなこだわりはありますが、楽曲に対してどう向かうかというモチベーションをしっかりと保てていたら、音楽は必要なことをなんでも教えてくれるんですよね。例えば、波という言葉があって、そのメロディーを聴くとそれが昼なのか夜なのか、ゆっくりなのか早いのか、イメージが具体的に沸いてくると思います。それが想像力であり、音楽の面白さだと思います。答えはありませんが、そこに表現できるヒントは用意されているはずです。

>CDとライブでの表現の違いはありますか?
まったく別物で、基本的にライブとレコーディングは違うと割り切らないといけないのが大前提です。レコーディングは美術の世界というか、ライブは時間の芸術になります。美術の世界は形として残せて、人にすぐに聴いてもらえるものなので、できる限り時間をかけて、できることはすべて取り組んでいるつもりです。だからといって、それをライブでそのまま再現しただけでは伝わりません。《Lily Chou-Chou》の時に、レコーディングではウィスパーボイスでも、ライブでは観客に声が届かず、打ちのめされた経験があります。今作は打ち込みのトラックに対してどのようにして歌を馴染ませていくか、エフェクトや手法によっては再現できないこともありますが、その上で反映させると面白い試みができるので、ライブならではの挑戦も楽しみではあります。

>ヴォーカリストとして変化されてきたことはありますか?
言葉というものを突き詰めていくうち、言葉自体も立派な楽器のひとつだと改めて気がついて、今はもっと上手に使えるようになりたいという好奇心があります。それによって音色が変わりますし、情景や記憶などが甦ったりもしますから、そう考えると歌というのはすごいですよね。追求していく先に、私もまだ知り得ない歌という芸術の可能性が広がっている気がします。



5thアルバム『Android&Human Being』
TFCC-86514 / ¥2,800(税別)


Salyu
2000年、《Lily Chou-Chou》として2枚のシングルをリリースし、シングル「VALON-1」で《Salyu》としてデビュー。2005年、1stアルバム『landmark』をリリース。2015年4月、5thアルバム『Android & Human Being』をリリース。このアルバムを携えての全国ツアーが5月より開催。
オフィシャルサイト:http://www.salyu.jp



photo:Keigo Sadahisa
text:Pilot Publishing
March,2015




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