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《Cap Brand》【Winfield Authentic Caps】


 ニューエラ社の正規カスタムアカウントを取得し、2005年からカスタム専門ブランドとしてオリジナルキャップを展開する『ウィンフィールドオーセンティックキャップス』。ウィンフィールド別注のオリジナルキャプや、メジャーリーグボールのヴィンテージモデルの完全復刻など、他では入手できないニューエラ・オリジナルキャップを多数取り揃えている。


インタビュー(December,2009)
BOSS / 『Winfield Authentic Caps』代表


>まずはブランドを始められた経緯について聞かせてください。

 札幌から世界へっていうのはやってみたかった。もしかしたら、それが一番最初の動機かな。そのために何だったらいけるか考えているうちに、キャップへ行き着いた感じ。最初はみんな洋服とかから始めるのが多いと思うんだけど、その選択肢はオレにはすごく不安だった。洋服屋は10年以上やっていたけど、服を作ったりすることに関しては自慢じゃないけど素人なわけで、素人が服を作ったところで説得力ないんじゃないかなってさ。素人のオレらが作れるモノなんてたかが知れてると思うし、なんでそれをお客さんが買わなきゃいけないのか、自分でも理由をつけられなかったんだよね。だけど、昔からカスタムは得意だったのよ。もっとこうすりゃいいのに…とか、こういうのがあったらいいのに…っていうアイデアはたくさんあって、それを生かすにはアイテムをひとつだけにしぼってやらないと通用しないと考えたんだよね。で、オレはたまたまニューエラのアカウントを持っていたから、これをいじくり回せないかなと。

>たまたま持っているものではないですけれど…(笑)。
 まあね。5〜6年前にショップでは普通にニューエラの商品を売っていたりしたのよ。そしたら、ニューエラから「カスタムもできます」って話を聞いて。あと、ニューエラ・ジャパンの社長ってアメリカ人なんだ。オレは高校生の時ニューヨークに住んでいたことがあるんだけど、その社長の地元がすぐ近くで、オレのいっこ下だったんだよ。「なんだよ、後輩じゃん!高校どこ?」みたいな…

>世間って狭いですね…。それからどう展開されたんですか?
 で、キャップだけに特化しようって決めて、とにかくそこばっかりドンドン攻めればみんな注目してくれるかなと考えて。それから、NYのフリーペーパー『フランク』とかにいきなり無理して広告を打っちゃって、すぐアメリカとかヨーロッパをまわって卸し先を探してきて、国内より海外へ卸しちゃって…っていう筋道を辿れば、注目してくれる人も中にはいるんじゃないかなって。だって、無茶しねえと知ってもらえないじゃん?

>人気ショップからブランドへの転身には大きな決断が必要だったんじゃないですか?
 セレクトショップってさ、当たり前の話なんだけど、誰かが作ったものを持ってきて売るわけじゃん。もちろん、基本は好きな物とかいいなと感じた物をセレクトするんだけど、すごいつまんないっていうか、ストレスを感じる時も結構あったのよ。例えば、人気ブランドが作った「これはどぅなの?」って感じるものでも店頭に並べて売らなきゃいけない状況だったり。それだったら自分たちが作って、売る側へまわった方がよくね?って。オレの会社のコンセプトは”ビッグゲームハンター”なんだ。で、世の中の流れもこんなだし、ショップじゃもうビッグゲームできねえんじゃないかなって。

>ところで、ブランド名の由来について聞かせてください。
 オレがアメリカに住んでいたのが1984〜1986年なんだけど、その期間のヤンキースの4番がデイブ・ウィンフィールドっていうすごくデカくて、ちょっと鈍臭い、いわゆる“大型扇風機”タイプの選手だったんだけど、オレは大好きだったのよ。なんで、最初はそこからインスピレーションをいただいたんだよね。でも立ち上げて1年くらい経った時、そのデイブ・ウィンフィールド本人から抗議のメールをいただきました。「勝手にオレの名前を使ってんなよ!」って…(笑)。

>本人との感動のご対面が抗議ですか…(笑)。
 うん。しょうがないから「ウチら日本人はデイブ・ウィンフィールドなんて知らねえよ!」って感じで返して。その時、抗議されたけど、ウチらを知ってくれてるってことでやっぱり結構テンションは騰がったよね(笑)!ウチのキャラクターも昔“デイブくん”って名前だったんだけど、それも訴えられてから名前を替えた。今は“スタッガー・リー・ウィンフィールド”っていう名前だよ(笑)。

>細部に至るまで設定や背景がよく作り込まれています。
 そこしかないと思うんだよね、ウチらが勝負できるのは。スタッフが全員そうなんだけど、ジャンルでわけると“Nerd(オタク)”なわけで。なんで、オレらができるっていうか得意なのは、どうしても“Nerd”的な切り口になっちゃうんだよね。こういうの知ってる?みたいな。同じようなモノが幾つかある場合、男の子はその物のストーリーで選ぶんじゃないかな。モノを買うのってそこじゃない?そこに惚れるから、その商品なりブランドが好きになるわけだし、そういう物が自分のお気に入りになるわけじゃん。さっきも言ったけど、オレらはクリエイターじゃないから、作った物のそういう付加価値で買ってもらうしかないし、そこは何処にも負けないと信じている。

モチーフがユニークで、メッセージ性も感じさせます。
 最初ブランドを立ち上げた時のテーマのひとつで、“アイス・キューブだったらどんなキャップが好きで、どんなキャップをかぶるのかな”っていうイメージがあって、アイス・キューブが被りそうなキャップを勝手に作っていたの…(笑)。そしたらある時…会えちゃったんだよね。

>…え!?
 2007年の秋だったと思うけど、『キング・ムー』でアイス・キューブがライブやったときがあって、その時に楽屋へ入れてもらえたんだよね。 で、超緊張しながら「大ファンです!」みたいな感じでウチのキャップを渡したら結構気に入ってくれて、サインもしてくれて…。なんだか自分がアイス・キューブのDVDの中に入っちゃったみたいな感じっていうの?とにかく超ドキドキしたよね。そのアイス・キューブラインっていうかウエストコーストライン以外は、映画ネタやちょっとユーモラスなメッセージものとか。基本、反抗的だったり大人が少し顔をしかめるものが好きだね。

>“W”モチーフのキャップは街でよく見かけます。
 あれがホント最初に作ったモデルなんだよね。クラッシックなんだけどインパクトがあってカッコいいでしょう。

>北海道では空前のヒットですね!
 クラブとか行くと“W”だらけで、自分でもびっくりすることあるもんね。でも、ちょっと自慢させてもらうと、実はウチのお客さんていうか、売り上げのうち道内は1割程度で、他は海外を含めて9割は道外なんだよ。もちろん、札幌で支持してもらえなかったら、道外でも通用しないんだけど。

>最初から設定されている目標が高いですね。
 高いかどうかはわかんないけど、外人にウケるっていうのは重視しているよ。むしろ日本人にウケなくても海外でウケれば良いんだってくらいなところはある。今度リリース予定の商品で、フロントに“OTAKU”って書いたモデルがあるんだけど、こないだニューヨークの友人にサンプル見せたらバカ受けしてくれて。こういう時にすごく喜びを感じるんだよね。

>ブランドとしてのこだわりはありますか?
 これはウチの独特の作戦のひとつかもしれないけど、一カ所も突っ込ませないように仕掛けているつもり。お客さんに「なんでここはこうなの?」って聞かれても、「いや…でもこれ格好よくね?」っていうようなありまいな答えしかできないものじゃなくって、全部がっちり説明をつけれるみたいな。「あの映画観た?で、あの映画の中でアレがこうだから、これはこうなんだ」みたいな。ま、“Nerd”だね…(笑)。

>今後の展開について聞かせてください。
 最近やっと世の中に“ウィンフィールド”って認知してもらえたんで、今度はウォレットやTシャツを仕込んでる。ウォレットは『パルプフィクション』のジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)のファミリーネームが、“ウィンフィールド”っていうのを知ったところからスタート。 「『パルプフィクション』のサミュエル役の名前、ウィンフィールドっていうらしいよ。」「それなら、ジュールスが持っていた“BAD MOTHER FUCKER”って書いある財布作っちゃおうぜ!」「しかもそれ、ポーターに作ってもらったらどぅよ?」って。で、すぐポーターに電話して、『パルプフィクション』のあの財布が出てくるシーンをメールで送って、「これと同じの作ってください」って…(笑)。

>頼む方も頼む方ですが、よく引き受けてくれましたね…(笑)。
 …もちろん嫌々だったけどね(笑)。内側に入っている刻印も結構モメたんだよ。「なんでポーターのロゴよりウィンフィールドの方がでかいんだっ!」みたいな(笑)。「ポーターのタグはいらないんですか?」「だって、映画のウォレットにそのタグは絶対付いてないでしょう?」とか…(笑)。

>では最後に…儲かってますよね?
 全っ然儲かってないよ!残念ながら、ニューエラって掛け率悪くて…。でもね、いつかは”ビッグゲーム”をハントして、スタッフみんなで爆笑しながらガッチリ握手したいなとはいつも思っているよ。


<取り扱い店>
Winfield Authentic Caps
住所 北海道札幌市中央区南2条西7丁目 27ビル-1F
営業時間 12:00〜20:00 
定休日 月曜日
電話 011-208-5050
URL http://www.winfieldcaps.com



photograph Kei Furuse(studio k2)
December,2009



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